2009年5月11日月曜日

№5 親切と不親切

2008年12月19日 新宿

夜9時、深夜バスは新宿駅を出発した。

この時点で旅の大変さを思い知った。
大変という大げさなものではなく些細なことなのだが、
旅とはこんな思いをするのか・・・という不安とストレスを抱いた。

深夜バスの切符は、ネット上の深夜バスサイトで購入した。
購入するには二つのオプションがあった。

一つは、ゆっくり座れる3列席バス。
もう一つは少々きつい4列席バス。
3列席はリクライニングでき快適に過ごせる。

バス代は、4列席は8000円。3列席は12000円。

今回の旅は出来るだけ安く、お金を使わないようにしなければならない。
mrxはとても厳しい。
少しでも約束を守らないと、連絡を絶ってしまう。

一説には真性サドという話もある。
(人をいじめるのが好きかもしれない。しかし、俺はmrxを信じる)

俺は躊躇なく8000円の4列席バスを選んだ。

夜8時に指定された場所に行った。
が、そのバスがいない。

あれ?と思い探したが見つからない。そこで、他社のバス係の人に尋ねた。
しかし、知らないと素っ気ない。―かなり冷たい。
切符売り場のお姉さんに聞いたが、
やはり「うちのバスではありません」とよそを向いて返事をする。

このャローなめんなよ。
と、心の中でつぶやき怒りを抑えた

困った!

出発時間は迫っている。いったい誰に聞けばいいのか。

それから数人に訪ね、やっとバス停留所が分かった。
しかし、どうしてみな親切ではないのか。
普段、人にものを尋ねる事がないので分からなかったが、
親切な人と、親切でない人は、こうも違うのか。

旅をする人間に限らず、ものを尋ねる人は、
知らないから聞いている。
仮に自分が知らなくても、聞いてあげるとか
調べてあげるとかするべきだ。

と、小さな事だが出発前から怒りを感じた。


バス停留所に行った。
しばらくして、バス会社の人が点呼を取り始めた。
俺は受付をした後、コンビニに水などを買いに行った。

バス停に戻り、深夜バスに乗る人はどんな人達なのか様子をうかがった。

新幹線や飛行機なら楽で早い。
新幹線なら6時間弱で博多に着く。
バスよりは快適だし、時間も節約できる。新幹線代も5万円ほどだ。

深夜バスに乗る人は、時間よりも、快適さよりもお金を重視しているのか。
それだけではないと思うが、お金の問題が大きいと思った。

俺は普段なら絶対に深夜バスに乗ることはない。

なぜなら、長時間乗ると窮屈で大変な事を知っているから。
それに、なにより時間がもったいないと思っていた。

その時間があれば仕事が出来る。
仕事ではなくても何かができる。

時間をお金で買うというほどではないが、早いに超したことがない。
なんでも早いに超したことがない。

しかし、この考えは後に大きく変わる。

mrxに指摘されたことがある。

「平さんは人にない絶対的な特徴を持っています。それは、
一瞬で数種類のことを同時に素早く考え判断することができることです。
しかし、これは最大の特徴でもありますが、最大の欠点でもあります」

俺は自分自信のことをあまり考えたことがない。
突き詰めて、自分と対話したことがない。

ブレインダンプを誰よりも知っていて、誰よりも活用しているはずなのに、

なぜ、俺は俺自身と対話しないのか?

いや、しないということではない。
するのだが、途中で対話を止めてしまう。

なにか怖いのか?なにか、なにかあるのか?

なぜ・・・わからない。

過去、俺はお金がないとき深夜バスに乗った。
深夜バスは電車や飛行機に比べ安い。
だから乗った。

今、深夜バスは満席だ。
乗客は千差万別だが一目でお金がなさそうな事が分かる。

そういう見方はおかしいかも知れないな。
たぶん俺自信もそう見えたと思う。

深夜バスに乗る自分を惨めに思ったが、これが、今の俺の現実だと受け止めた。
この時点ですでにお金のありがたみを感じた。

深夜バスの中では、考える時間がたくさんあった。。

俺は今回の旅に出るとき、極力誰とも相談しないで、
本当の理由をいわないで、旅に出るようと心がけた。

大げさに見送られるのは嫌だったからだ。

それと、どうせ、お金を沢山持っていく気楽な旅と思われているはずだ。

どう説明しても理解してくれるはずはなかった。
俺の過去がそうしたのだ。

特に俺の田舎の会社、エルハウスの人間は理解できないと思う。
今まで金満の旅行ばかりだった。
貧乏な旅をするといっても信じていない。

それは仕方がない。なので、説明するのをやめた。

俺は昔も今も変わっていないと思う。
しかし、妻は明らかに変わった。しかも悪い方へ変わった。と言う。

態度が大きくなり、人の意見を聞かない、
傲慢な人間になったという。

そんなことはない!・・・と思うのだがそう見えるらしい。

お金を簡単に稼げるようになった。
自由に使える。

だから、お金のありがたさや大切さを忘れてしまっていた。

稼いだお金をどうやって使っていくか。

お金の意味を知り、それも伝えていかなければならないのか。
俺はお金のコンサルタントなのか。
事業家ではないのか。
これからどうしていくのか。
何が目標なのか・・・

どうして良いかわからなくなった。

仕事をやればある程度うまくいく。

しかし、いくつかの会社を作ると、社員同士が競争心や嫉妬などで協調できない。
それを指導するのもうっとうしいので何も言わない。
俺はなにをしたいのか本当によく分からない。

ただ思いついたことをその場しのぎでやっている。

それがまた、うまくいくことが多いので困る。
困るということはないが、その後どうするのか長期のビジョンが見つからない。

3億、5億、10億の会社を3年くらいで作る事はできる。
しかし、その後うまくいかない。
どうしたらいいかも分からない。

社員に遠慮が出てきた。

社員任せになり、口出しするのが悪いと思い何もいわなくなった。
業績が伸びない。落ち込む。
口を出せば良いのか、任せておいた方が良いのか。
迷う。迷えば迷うほど会社は蛇行した。

住宅経営という会社を新しく作った。
1年で軌道に乗った。2億の売上げだ。
今期は8億いく。

なぜうまくいくのか?
この理由は分かる。

今回は組織を作るのに天才を集めた。―俺の信頼する5名の弟子達だ。
住宅業は俺の専門だからだ。失敗する理由がない。
うまくいって当たりまえなのだ。

俺は旅に出ることを決めたので、作ったばかりの会社の社長を代わってもらった。
俺に付いてきてくれる人達が、
社長が代わることで組織が機能しなくなる可能制がある。

分解するかも知れない。

しかし、今は、Mrxのいうように、
旅に出る事が俺にとって最も重要だと思った。

旅に出ることに躊躇はなかった。

たとえ社員がやめようと、会社がなくなろうと旅に出る。
この決意は変わらなかった。

この世で最も信頼するMrxが旅に出た方が良いという。
ならば、そのことばを信じ行動してみようと。

もちろん自分の意志で行くことを決めた。
責任は全て自分にある。

人は羨ましがる。
こんな時代に一人で好きな旅が出来るなんて平さんだけだよ!といわれた。

また、ある人には、
「そんな今更学生じゃあるまいし、旅なんて行かないで事業をのばそうよ。」
そういわれた。

今困っていて、平さんに教えてもらいたい人達は沢山いる。
その人達を見捨てるのか。

言葉もない。

結果的にそうなるかも知れないが、それでも旅に出ようと決めた。

1年間は無理、どうせすぐに帰ってくる(冷笑)と思っている。
しかし、俺は頑張りたい。

一人旅をしたことはないので不安だ。
みなには大きな事をいって指導しているのに、一人旅程度が不安なのだ。

情けない。俺は情けない人間だ。

―ビジネスホテル
今日生まれて初めて洗濯をした。
お風呂場の洗面台にお湯をため、パンツを水に浸し石けんで洗ってみた。
これで良いのかな?

本当に汚れは落ちるのかな。
恥ずかしいなー、これを1年間やるのか。無理かもしれない・・・

洗濯一つで気持ちが萎えそうになった

俺は今まで一人で何もしてこなかった。
周りにいつも誰かがいた。
社員、会員さん、友人がなんでもやってくれた。

俺にそれだけ人望があるのか。
俺はそれほどの人間なのか。
そうではない。

自分を大きく見せようと思っている。
考えると嫌になる。と同時にもっと深く考えたいと思った。

過去の俺、現在の俺、本当の俺自身を深く考えたいと・・・
しかし、いくら考えて仮に悟りを開いたとしても、
元の生活に戻ればキャバクラに行き、女と遊び、ビジネスを行い、
セミナーを開き、同じ生活が待っている。

結局元の自分に戻ってしまい
何のための旅だったのか・・・そう後悔しないだろうか。

自分探しの自己満足で終わるのか。

本当に1年間の旅の成果は現れるのか。

ムダな1年間にならないのか。

考える時間だけはたくさんある。

今俺には時間だけが十分にあった。




追伸

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