あなたは「ジョーズ」という映画を見たことがありますか。
あの映画見ていると、観客は実際に自分が海を泳いでいるかのような気分になります。
そしてあの音楽と共に、
サメが実際に自分に襲いかかってくるかのような
恐怖感を味わうのです。
もちろん、観客は本当に海の中にいるわけではありません。
それは映画であり、あのサメも機械で出来た
ロボットだということも、観客は当然分かっています。
それなのに私たちは「映画が誰かによって撮影されたものである」
ということを忘れて、さも実際に起こっていることのように、
映画にのめりこむことが可能です。
その理由は、私たちの頭の中の「知性」の部分(映画の内容は現実ではないと認識する)と「感情」の部分(映画が現実であるかのように恐怖する)は必ずしも結びついていないからなのです。
この事実は私たちがコピーを書くときに覚えておかなくてはいけません。
実は広告には、見る人の「知性に訴えかける広告」と
「感情に訴えかける広告」の2種類があり、
広告をつくる人間はそのどちらかのタイプの広告をつくろうと思っているのか、選択する必要があります。
「知性に訴えかける広告」というものは、
まず消費者が今まで知りえなかった情報を提供します。
そして、その広告の内容がまぎれもない事実であるということを証明し、彼らの知的好奇心をくすぐることで、広告に対する興味を植えつけるのです。
もしかしたらここまでを読んで、「広告って感情を揺さぶればいいだけだと思っていた。知性に訴える広告なんてものもあるのか」と思った方もいるかもしれません。
それは多くの人が知らないだけで、実際には数多く存在しているのです。
ただ、知的な広告というものはなかなか消費者の感情を揺さぶることはできません。
対照的に、「感情に訴える広告」はお客様がすでに知っていて、常に欲しいと思っているものをもう一度頭の中に思い起こさせるためのものです。
そして、お客様がすでに体験しているものを、新たな視点からもう一度体験してもらいます。
その「新しい体験」をしてもらうことで、消費者はその商品に対する新しい印象を持ち、購入を促す結果になるのです。
映画の例で示したことからも分かるように、知性と感情、両方同時に訴えかけるということは、容易に出来ることではありません。
だからこそ、広告をつくるときにはどちらのタイプの広告にするのか、事前に決定をしておく必要があります。
焦点が定まらず、目的が明確でない広告ではお客様の記憶に残りません。
果たしてあなたの広告はお客様の心に届いているのでしょうか。
知性と感情、どちらでお客様の心をつかむのか、はっきり決まっていますか。
それはコピーライターがペンを握る前にすでに決まっていなければならないことなのです。
あなたが広告をつくる前に、もう一度このことについてよく考えてみてください。
4 コメント:
はじめまして。平岡と申します。
今までは感情に訴える
広告のことばかりを考えていましたが、
感情と知的の2種類があることを知り、
なるほど、と思いました。
そこで質問なのですが、
(ここで聞いて良いかわかりませんが)
感情と知的の広告はどんな時や場合に
使い分けていくものなのでしょうか。
なんとなくですが、
感情は一気に売り切りたいときに
使う感じがして
知的は地道にコツコツと売るときに
使う感じなのですが、
このような考えで良いのでしょうか。
宜しければ教えて頂けたらと思うのですが、
よろしくお願いします。
平です。コメントありがとうございます。ご質問に答えます。
基本的に広告は人の感情に訴えるもの(感情を刺激する)を作るべきです。なぜなら、人は物を買う時には、知性で考えて買うのではなく、「欲しい!」という欲望に負け、感情で買うからです。
そして、感情的、衝動的に買ってしまい、「困った、どうしよう。どうやって妻に言い訳するか・・・」と、買ってしまったいいわけを考えます。
なので、広告では、「買い手のいい訳」を用意しておいてあげるといいと思います。私たちの作っているのは、普通の広告ではなく、DRMの広告なのです。
DRMの広告というのは、感情に訴える内容で、買ってくれた人の心情を理解し、初めからいいわけを用意してあげる。そういう親切な広告のことを言います。
こんな点を考えて広告は作ってください。
平先生こんにちは。田辺です。コメント欄に平先生が登場していたので、私もカキコします。
妻への言い訳の話、自分も身に覚えがあります!困るんですよね、あれ。。。
そんなこともあり聞いてみたいです。DRMでは感情に訴えるということなんですが、感情の種類で楽しみ・喜び・怒り・不安とか、いろいろありますが、どれが一番効果的なんでしょうか。
一番力強いのは怒りのパワーと教わったことがありますが、時々分からなくなります。
平です。田辺さんコメントありがとうございます。感情についてですが、私が横浜国立大学の堀之内先生に教わった理論を教えます。
怒り、このパワーに焦点を当てます。
なぜかというと、人は、以下のような流れで行動に移るからです。
怒り→悲しみ→思考→行動
人は、自分でも理解していない怒りを内に秘めています。その怒りが、「引き金を引く言葉」により顕在化します。そして、どうして自分だけがこんな目に会うのだろうか?と悲しみを覚えます。そして、考えます。
どうしたら、その悲しみから逃れることができるのかと。
そして、その時に、悲しみから逃れる解決方法が目の前にあったら、飛びついてしまうということです。
これが、人間の逃れられない心理なのです。
人の怒りを理解するには、自分がどういうときに、やりきれない気持ちになるのか?自分を見つめる作業が必要です。
人の感情を理解するということは、自分自身を理解することに他ならないのです。
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