2009年12月28日月曜日

ソーセージと豆と5億ドル

今日は12月29日。

誰もいない会社に一人出社、今年最後のブログを書いています。


私には2才年上の兄がいます。

兄に、胃がんが見つかりました。
早期でしたので、胃を3分の2きりましたが、大丈夫だろう
とのことでした。

病室で、30分ほど話をしました。

9年前に勤めていた会社が倒産した時、
兄はその会社の専務をやっていました。
7億の負債を一身にかぶり、自己破産したのです。

しかし、兄はどんな境遇になっても何も言いません。
現実を受け止め、最後まで、船が沈むまで自分がみる。
そういう人間です。

当時会社には30名ほど社員がいましたが、
会社がやばい状況というのは、皆が薄々感じていました。

私も、同様に感じていました。

会社が倒産しそうな時、会社を何とかするため、最後まで働くか、
それとも、見切って早くやめるか・・・

どちらかの道を選ばねばなりません。
最後までやり遂げるか、早々去るか。

どちらの道を選ぶのか。
その時の状況や、経営者の態度により、ケースバイケースだと思います。

私は、早くやめる道を選びました。
社長や、社員、下請けからは、裏切り者扱いを受けました。

一人だけ逃げるのか!

いいなー

どうするの?

反応は様々でした。
むろん後悔はしていません。
あなたに、どっちがいいよと、アドバイスもできません。

ただ、そういうことがあったということをお話ししました。

兄は、私にいつも良くしてくれました。
怒ったことがない兄です。
弱音も泣き言も、愚痴も言いません。

ただ、お世話になった会社だから、俺が幕を引く。
そういう兄なので、倒産した後も、たくさんの会社から引き合い
が来ました。

大きい会社、小さい会社、異業種。

兄が選んだのは、一番小さな会社でした。
理由を聞いたところ、

「その社長が一番自分を必要としてくれたし、楽しそうだったから」

と言いました。
その後、兄は本来の力を発揮し、その会社をどんどん大きくしていきました。

兄の戦略は素晴らしく、地元の会社が次々に倒産していく中、
一人勝ちして行ったのです。

兄は何を行ったのでしょうか?

兄の行ったことは、「下請けに徹する。しかも超ニッチの下請けに」
ということでした。

建設会社の仕組みをお話しすると長くなるので、しませんが、
誰もがやりたくない、資本もかかる難しい下職に徹したのです。

そのおかげで、いまでは引く手あまたの会社になっています。

しかし、そうなっても自分たちはこの仕事だけを行い、
会社を大きくしようとは思わない。

そう言います。

私は、兄と正反対の性格なので、小さな仕事や、下請け工事など
我慢できません。

なので、次から次に新しい会社を行うのです。
いい悪いではなく、性格の違いだと思います。

兄が困ったとき助けられるように自分も頑張らねばと思いました。

私の兄は最高の兄貴です。

追伸

もうひとつ、最高の兄弟の話します。
これが、今年最後の話、私が最も伝えたかったことです。

では、お読みください。

来年もよろしくお願いします。


ソーセージと豆と5億ドル

アメリカにエヴァンとシェーン(Evan, and Shane Chrapko)という、
ある2人の兄弟がいます。

彼らは起業して2年のインターネット会社を、
なんと!5億ドル以上の金額で売却しました。

あなたは、こう思うかもしれません。

「ネット産業は90年代から大成長したからなあ。
やっぱりインターネットに強い人はビジネスで成功するのだなあ」、と。

しかし、奇妙なことにその2人の兄弟はインターネットの専門家、
という訳ではないのです。

「じゃあきっと親が金持ちで、その財産を元手にビジネスを始めたのだろう」、

そう思うかもしれません。

いいえ、彼らはカナダの田舎の小さな牧場で生まれ育ちました。

彼らが会社を売却して億万長者になった時、彼らの父親は

「ウソつけ。銀行の口座を見るまで、ワシは信じないぞ」と言ったほどです。

そんな田舎者の両親の教育と、生まれ育った牧場の環境こそが、
二人が成功する土台になった、と彼らは言います。

エヴァンとシェーンの2人は決して、インターネットについての
天才的な技術を持っているという訳ではありません。

エヴァンは大学で学んだ会計学の知識をビジネスに生かし、
シェーンは川下りのツアーガイドとして働いていた経験を仕事に生かしました。

会社を始めたばかりの頃、彼らは毎日オフィスに寝泊りし、
ソーセージと豆が毎日の食事という、貧しい生活をしていました。

彼らを知る人は、彼らが成功した理由を、

1、お互いや友達に対する絶対の信頼

2、アイディアを生み出すことについての情熱

3、どんな障壁があろうとも、一度決めたことをやり遂げる意志


があったからだと言います。

私がこの話から言いたいことは・・・

強い意志が大切とか、情熱が大切とか、信頼が大切ということを
言いたいのではありません。

エヴァンとシェーンの兄弟は、10年後、
毎日ソーセージと豆ばかり食べていた頃を振り返って、

「あの頃が人生で一番幸せだったなあ」と思い出すだろう、ということです。

お金持ちになってしまうと、
自分達の子供は苦労を知らずに育ってしまって大丈夫だろうかと心配したり、
自分のお金目当てに近づいてくる人間が増えてきたり、
といった新たな悩みが増えるものです。

もしあなたの人生が、
今まだ毎日ソーセージと豆を食べている段階だとしたら、
私はあなたに、「その毎日の幸せを噛み締めてほしい」、と思います。

なぜなら、お金持ちになってしまうと、
今あなたが持っているような、「これからどんどん上に上がってやる!」
という飢餓感が薄れてしまいます。

そして、今あなたが苦労を共にしている仲間は、
あなたの生涯最高の友人になるからです。

ぜひ、その友人に「君がどれだけ大事な存在であるか」、
ということを伝えてみてください。

きっと相手は照れて、「急に何を言い出すんだ」
と言うかもしれませんが、
一緒に座って最高のソーセージと豆で食事をしてみてはどうですか。

20年後、その瞬間は人生最高の思い出として記憶に残っていることでしょう。

人にとって何が宝ものなのでしょうか。

それを考える必要はないように思います。

今、この瞬間を一生懸命生きることこそが宝になるのです。

5 コメント:

匿名 さんのコメント...

平秀信様

本年も大変お世話になりました。
今この瞬間の幸福感を大切にする。
大切なメッセージありがとうございます。

年末年始、家族とゆっくりと過ごして
幸せを実感します。良いお正月をお過ごし
くださいませ。

いつも、大変貴重な教えを
ありがとうございます。

匿名 さんのコメント...

平秀信様

いつも貴重な気づきを与えてくださり
ありがとうございます。

私の母も、去年脳卒中で倒れましたが
今は自宅介護をしながら
家族と過ごしています。

家族と笑って過ごせる毎日の幸せを
改めて噛み締めています。

来年も、自分が決めた目標を達成するため
1秒1秒を一生懸命に生きます。

ありがとうございます。

今年最後のお話楽しみにしています。

よいお年を。

匿名 さんのコメント...

コメントありがとうございます。よいお年を! 平

スーパーエディション株式会社 さんのコメント...

平秀信様

ソーセージと豆の話を読んで涙がでました。
ソーセージと豆の今を噛みしめながら、頑張っていきます。

さっそく仲間に感謝の言葉を伝えます。
本当にありがとうございました。

匿名 さんのコメント...

武田さん、コメントありがとうございます。いい顔ですね! 平