2012年9月13日木曜日

勇気の話

平です、

あなたは勇気がありますか?

私にはありませんでした。

……

あなたもすでにご存知の通り、
私は最低の人間です。

年収5億円を稼いでいた当時、
私は完全に浮かれ、愛する妻を裏切り、
浮気に走り、お金を無駄使いしまくり、
ステータスを意識して傲慢に振る舞って
いました。

信頼する友人達に強く止められたにも
関わらず、ハイエナのように集まってきた
『投資のプロ』達の口車にそそのかされ、

海外、国内のファンド、
IPO株に投資をしました。

そして全てを失いました。

浮気がばれ、妻には愛想をつかされ、
会社も傾き、健康面も問題を抱え始め、
破産寸前に追い込まれました。

私は最低の人間なのです。

本当に全てを失った時、私はある事を
思い出し始めました。

それは、私の幼少期の思い出です。

私の父親は私が9才の時、蒸発して
家を出て行きました。

今どこで何をしているのかさえ、私には
全く分かりません。

私は父親の思い出すらありません。
何も覚えていません。

父親が蒸発してから私の母親は女手一つで
私と私の兄を育ててくれました。

家にはいつもお金がなく貧乏な毎日を
送っていました。

勉強机を買ってもらうお金が無かったので
みかん箱を机代わりにしていました。

いつも冷たい風がピューピュー壁の隙間から
入ってきて寒かったのを覚えています。

そんな貧乏な生活をしていた時、私の母親は
ある男性のお世話になり始めました。

詳しい事はあまり言いたくありませんので
詳細は省きますが、母親はある男性の
お世話になるようになりました。

その男性には家族もあり、そして子供も
いました。しかし、彼が私の家に出入り
するのを見て、幼いながらに私は心に
違和感を感じ始めました。

心に小さな『痛み』を感じ始めました。

そして、その小さな痛みは年を重ねるにつれ
『憎しみ』に変わっていくようになりました。

母親に対して小さな憎しみを抱き始めました。

心のどこかで母親を憎むようになりました。

幼い私には理解できる事など何もありません。

ただ、小さな痛みが小さな憎しみに変わっていき、
次第にそれが他の女性に対する憎しみにも
広がっていくようになりました。

女性を信じれなくなっている自分がいました。

全てを信じれなくなっている自分がいました。

私を捨てた父親。

尊敬できない事をしている母親。

世間に対する恥。

何もできない自分。

そんな気持ちを抱えながら大人になりました。

私は愛する妻に出会いました。

2人で一緒にゼロから助け合って生きていました。

2人の愛する娘も生まれ、私は幸せな家族を
手に入れました。

しかし、私は心のどこかで憎しみ、悲しみ、
そして恐れを抱いていました。

私の心には本当に信じる道という物が
存在していませんでした。

マーケティングを覚えたきっかけで大金を
手にした私は狂ったように豪遊をし始め、
狂ったように女遊び、浮気をし始め、
そして傲慢に振る舞うようになりました。

そして全てを失いました。

今考えてみると私は全てを失う事を
心のどこかで望んでいたのかも知れません。

父親に捨てられた記憶、母親を憎む気持ち、
虚無感の記憶を追いかけるように私は
自ら全て失う事を追い求めていたように
思います。

私はなぜか自分はいつか一人ぼっちで
死ぬだろう、と考えていました。

どんなに私の事を愛してくれる妻がいても
可愛い子供たちがいても、心のどこかで
いつも自分はいつか孤独に死んでいく、

と思っていました。

その妄想を実現するように自ら過ちを犯し、
自ら不幸になるように追い込んでいた自分が
そこにいました。

『繰り返し』をしていました。

父親が私にした事、母親が私に抱かせた感情、
全て同じ事の繰り返しを私はしていました。

今、私は2人の娘には会えません。

いつか会えるかも知れないね、と
娘は言ってくれていますが、恐らくもう
会う事もない可能性もあります。

これから2人の娘は大人になり、彼女たち自身の
家族を作っていくのだと思います。

私の事は永遠に許してくれないのかも
知れません。

私自身、父親を許せない自分があります。

母親を許せない自分がいます。

なので子供達の気持ちはよく分かります。

同じ事の繰り返しをしている自分が
情けなくなってきます。

先日、私の記事を読んだ元奥さんから
連絡がありました。

「あなたの記事を読みました。

あなたの考えもよく分かりましたし、
今どういう暮らしをしているのかも
ある程度分かりました。

私と子供達を裏切ったあなたをまだ
許せない気持ちはあります。でも、私は
過去を未来にひきずって生きていきたくは
ありません。

なので私は私で幸せになります。
もうあなたを責める気持ちは無いです。

子供達も子供達で幸せになると思います。

子供達は同じ事の繰り返しにならないように
幸せな家族を作ってもらいたいです。

色々な事を考えていて、もう吹っ切れましたので
慰謝料の件はもう無かった事にして下さい。

あなたは感謝料だと思って払っているそうですが、
私はこれは感謝料だとは思っていませんでした。

私が長年仕事をしてきた分を受け取る当然の
代金だと思っています。

あなたの私に対する感謝の気持ちで受け取っていた
訳ではありません。当然の義務だと思っています。

しかし、私は私でこれ以上過去を引きずりたく
ありません。あなたとの関係をこれ以上
引きずる事もしたくありません。

私は幸せになるつもりです。

なのであなたも幸せになったらいいと思います。

今、恋人がいるそうですが、彼女を大事に
してあげたらいいと思います。

私達にできなかった事を他の女にしている、
と思うと涙が出るほど悔しいですし、娘達も
本当に辛いと思います。

でも、あなたの事を許さないと私達は
あなたと同じように過去をひきずり、
同じ事を繰り返す人生を歩む事になって
しまいます。

なのであなたを許します。

そしてあなたの幸せを願います。

もう慰謝料の事は無かった事にして下さい。

私は多額のお金に興味はありません。たくさんの
お金を持っても問題を引き寄せるだけです。

今は普通の生活を楽しんでいます。

これで十分です。

なのでもう全てを終わりにしましょう。

さようなら。」

….

こういう手紙が届きました。

この手紙を読んで私は涙が出ました。

自分がどれくらい情けない人間なのか、
どれほど卑怯で臆病で最低の人間なのか
を感じました。

私は『許す』事ができませんでした。

父親を許す事ができませんでした。

母親を許す事ができませんでした。

『許す』事ができなかった私は彼らと同じ事を
繰り返し、私の妻、そして子供達を傷つける事を
してきたのです。

私は変わりたい、と思いました。

もう同じ事の繰り返しはしたくないです。

私は人を許す『勇気』が欲しいです。

私は変わる『勇気』が欲しいです。

許す事は本当に難しいです。

本当に辛いです。

しかし人を許さず、いつまでも過去を引きずれば
それは必ず自分に返ってきます。

過去を未来に引きずれば永遠に過去の記憶に
生きる人生を歩んでしまいます。

私は人を許したいです。

お父さんを許したいです。

お母さんを許したいです。

全てを失った今、私には分かります。

人は神様ではありません。

人間は必ず間違いを犯してしまいます。

気が付かないうちに私達は他人を
傷つけてしまいます。

気が付かないうちに私達は
人を裏切ってしまいます。

悪気が全くなくても私達は
人を騙してしまいます。

それが人間なのだと思います。

たくさんの過ちを犯してきた私は、
もう誰かを憎んだり、恨んだり、間違いを責めたり
する権利が無い事に気が付きました。

もうお父さんを責めるのは辞めます。

もうお母さんを憎むのは辞めます。

私は両親を許します。

そして私は変わります。

私はもう過去を引きずりません。

私は新しい未来に生きます。

全てを真っ白いキャンパスにしてゼロから
新しい絵を描きます。

上塗りの人生はもう終わりにします。

私は輝く未来をゼロから作っていきます。

今、目の前にいる彼女を大切に本気で愛します。

そして彼女との間にできれば子供を作って
ゼロから新しい未来を築いていきます。

元奥さん、そして二人の娘達も同じように
幸せになって欲しいです。

素敵な人を見つけて、幸せな家庭を作って
不幸の鎖を断ち切って、新しい未来を
創ってもらいたいです。

私の残りの人生ももう10年、20年くらい
だと思います。

娘達が私くらいの年になる頃には私は
もうこの世にいなくなっているかも知れませんし、
ヨボヨボのお爺さんになっていると思います。

その時に、お互いがちゃんと幸せになって
いられる事を心から願っています。

今まで本当に申し訳ありませんでした。

今までこんな駄目な私を愛してくれて
本当にありがとう。

最高の二人の娘はいつまでも私の心の
宝物です。私の心の中で輝き続けます。

お父さんが犯した過ちは絶対に犯さないように、
幸せな家族を築いてくれる事を願っています。

本当にごめんなさい。

そして本当にありがとう。

….

人を許し、過去を許し、そして
人生を変える『勇気』を持って、私は
輝く未来に向かって生きていきます。

『過去は未来では無い』

この言葉を胸に刻み、新しい人生を
生きていきます。

平秀信

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