2012年3月31日土曜日

ソーセージと豆と5億ドル


私には2才年上の兄がいます。

兄に、胃がんが見つかりました。
早期でしたので、胃を3分の2きりましたが、
大丈夫だろうとのことでした。

病室で、30分ほど話をしました。

9年前に勤めていた会社が倒産した時、
兄はその会社の専務をやっていました。

7億の負債を一身にかぶり、自己破産したのです。

しかし、兄はどんな境遇になっても何も言いません。

現実を受け止め、最後まで、船が沈むまで自分がみる。
そういう人間です。

当時会社には30名ほど社員がいましたが、
会社がやばい状況というのは、
皆が薄々感じていました。

私も、同様に感じていました。

会社が倒産しそうな時、会社を何とかするため、
最後まで働くか、

それとも、見切って早くやめるか・・・

どちらかの道を選ばねばなりません。
最後までやり遂げるか、早々去るか。

どちらの道を選ぶのか。

その時の状況や、経営者の態度により、
ケースバイケースだと思います。

私は、早くやめる道を選びました。

社長や、社員、下請けからは、裏切り者扱いを受けました。

一人だけ逃げるのか!

いいなー

どうするの?

反応は様々でした。
むろん後悔はしていません。

あなたに、どっちがいいよと、アドバイスもできません。

ただ、そういうことがあったということをお話ししました。

兄は、私にいつも良くしてくれました。
怒ったことがない兄です。

弱音も泣き言も、愚痴も言いません。

ただ、お世話になった会社だから、俺が幕を引く。

そういう兄なので、倒産した後も、
たくさんの会社から引き合いが来ました。

大きい会社、小さい会社、異業種。

兄が選んだのは、一番小さな会社でした。
理由を聞いたところ、

「その社長が一番自分を必要としてくれたし、
楽しそうだったから」と言いました。

その後、兄は本来の力を発揮し、
その会社をどんどん大きくしていきました。

兄の戦略は素晴らしく、地元の会社が次々に倒産していく中、
一人勝ちして行ったのです。

兄は何を行ったのでしょうか?

兄の行ったことは、

「下請けに徹する。しかも超ニッチの下請けに」
ということでした。

建設会社の仕組みをお話しすると長くなるので、
しませんが、

誰もがやりたくない、資本もかかる難しい
下職に徹したのです。

そのおかげで、いまでは引く手あまたの
会社になっています。

しかし、そうなっても
自分たちはこの仕事だけを行い、

会社を大きくしようとは思わない。

そう言います。

・・・・・・・・

私は、兄と正反対の性格なので、
小さな仕事や、下請け工事など
我慢できません。

なので、次から次に新しい会社を行うのです。

いい悪いではなく、性格の違いだと思います。

兄が困ったとき助けられるように自分も
頑張らねばと思いました。

私の兄は最高の兄貴です。

・・・・・・・・・・

追伸

もうひとつ、最高の兄弟の話します。

・・・・・・・・・・

ソーセージと豆と5億ドル

アメリカにエヴァンとシェーン
(Evan, and Shane Chrapko)という、
ある2人の兄弟がいます。

彼らは起業して2年のインターネット会社を、
なんと!5億ドル以上の金額で売却しました。

あなたは、こう思うかもしれません。

「ネット産業は90年代から大成長したからなあ。

やっぱりインターネットに強い人はビジネス
で成功するのだなあ」、と。

しかし、奇妙なことにその2人の兄弟は
インターネットの専門家、
という訳ではないのです。

「じゃあきっと親が金持ちで、
その財産を元手にビジネスを始めたのだろう」、
そう思うかもしれません。

いいえ、彼らはカナダの田舎の
小さな牧場で生まれ育ちました。

彼らが会社を売却して億万長者になった時、
彼らの父親は

「ウソつけ。銀行の口座を見るまで、
ワシは信じないぞ」と言ったほどです。

そんな田舎者の両親の教育と、
生まれ育った牧場の環境こそが、
二人が成功する土台になった、と彼らは言います。

エヴァンとシェーンの2人は決して、
インターネットについての
天才的な技術を持っているという訳ではありません。

エヴァンは大学で学んだ会計学の
知識をビジネスに生かし、

シェーンは川下りのツアーガイドとして
働いていた経験を仕事に生かしました。

会社を始めたばかりの頃、
彼らは毎日オフィスに寝泊りし、

ソーセージと豆が毎日の食事という、
貧しい生活をしていました。

彼らを知る人は、彼らが成功した理由を、

1、お互いや友達に対する絶対の信頼

2、アイディアを生み出すことについての情熱

3、どんな障壁があろうとも、
一度決めたことをやり遂げる意志

があったからだと言います。

・・・・・・・・・

私がこの話から言いたいことは・・・

強い意志が大切とか、情熱が大切とか、
信頼が大切ということを
言いたいのではありません。

エヴァンとシェーンの兄弟は、10年後、

毎日ソーセージと豆ばかり食べていた頃を振り返って、

「あの頃が人生で一番幸せだったなあ」
と思い出すだろう、ということです。

お金持ちになってしまうと、

自分達の子供は苦労を知らずに
育ってしまって大丈夫だろうかと心配したり、

自分のお金目当てに近づいてくる人間が増えてきたり、

といった新たな悩みが増えるものです。

もしあなたの人生が、
今まだ毎日ソーセージと豆を食べている段階だとしたら、

私はあなたに、「その毎日の幸せを噛み締めてほしい」、
と思います。

なぜなら、お金持ちになってしまうと、
今あなたが持っているような、

「これからどんどん上に上がってやる!」
という飢餓感が薄れてしまいます。

そして、今あなたが苦労を共にしている仲間は、
あなたの生涯最高の友人になるからです。

ぜひ、その友人に「君がどれだけ大事な存在であるか」、
ということを伝えてみてください。

きっと相手は照れて、「急に何を言い出すんだ」
と言うかもしれませんが、

一緒に座って最高のソーセージと豆で
食事をしてみてはどうですか。

20年後、その瞬間は人生最高の思い出として
記憶に残っていることでしょう。

人にとって何が宝ものなのでしょうか。

それを考える必要はないように思います。

今、この瞬間を一生懸命生きることこそが宝になるのです。

・・・・・・・・・

写真は二つ上の兄貴です。





1 コメント:

匿名 さんのコメント...

素晴らしいお話を聞かせて頂き、涙が止まりません。
いま私はソーセージと豆を食べて生きてる生活を妻と6ヶ月の息子にさせてしまっています。

アルバイトをしながらブログビジネスで成功しようと日々もがいています。

こないだ友人の結婚式に招待され、一万円しか包めなかった私を尻目に成功している同級生達をみて、

本当に俺は成功できるのかなぁと不安になりました。

でも、このままもっと頑張れば
絶対に成功できるとも信じています。

このソーセージと豆を読んで、今はとっても辛く
また家族に辛い思いをさせていますが、

この苦しみが将来笑い話に変わる事を楽しみに
思いっきり努力しようと思いました!

本当にありがとうございます!